外は霧雨。


真っ暗な空から落ちてくる細かい雨粒が、街灯の光を反射してまるで銀の針のようにキラキラと輝きながら四角い窓枠の中を通り過ぎる。


あの日もこんな霧雨だった。
こんな雨に傘をささなければよかったのに。
あの猫が突然飛び出さなければ転んだりしなかったのに。


今まで必死に練習してきたものがあの日、全て無駄になった。


バカみたい。
ほんと、バカみたい。


「……神様のバカヤロウ」

私は真っ暗な空に向かって吐き出すようにつぶやいた。

「──そんなこと言ったら、神様が怒っちゃうよ?」



突然背後から聞こえた声に驚いて振り向くと、そこにはクスクスと笑う男の子がいた。