どうして私だけ?



あのふたりよりも私のほうがずっと練習頑張ってたのに。
タイムだって、どんどん伸びていってたのに。

可哀想なんて言って笑い合いながら、心の中では大会前にケガした私をバカだと思ってるんでしょう?
代わりに大会に出られてラッキーなんて思ってるんでしょう?


お見舞いなんてきて、まともに歩けすらしない私を見て優越感に浸るんでしょう?




お腹の奥辺りで、黒くどろどろした感情が渦をまく。

友達にたいしてそんなことを考えてしまう自分が、信じられなかった。

病院の入口に向かう二人の後ろ姿を見ながら、必死で涙をこらえた。

にゃー。

そんな私のことをじっと見上げていた雨が、木の下で優しく鳴いた。