【短】30秒後、星散るセカイ




膝横でゴトン、缶ジュースが落ちる。


右下でチャリン、お釣りが落ちる。


目の中でキラキラ、星が落ちる。





───心がストン、恋に落ちた。






頬がじわり、熱くなる。





「っ、それ、です…」





そしてやっと返事を返せば。


彼は息を切らしたまま、安堵したように呟くように、私を上から見下ろして「ははっ、良かった」って笑った。





目の中の星の、瞬きが止まらない。



心臓のどきどきに比例するみたいに、止まらない。



眩しくて恥ずかしくてどきどきして直視していられなくて、彼から目をそらした。



ああ、だって、もう。




────────好きだ。









いつも通りだと思って、

廊下を歩き始めてから、

30秒後。



────私の世界に、星が散った。