【短】30秒後、星散るセカイ





「──っ、」




彼が初めて私に向けて放った言葉。



なのに、もったいない。


返事も、出来ない。





ただ、見開いた私の目の中いっぱいに彼が映る。





───こんな、都合のいい事。





……起きて、しまった。





ああ、なんだか泣いてしまいそうだ。





───君が私を見つめる理由。


もう、自意識過剰になるしかないよ。





私の中にあった淡い想いが加速する。





どこにいたって、どうしたって、私が彼を見つけてしまう理由。





確信して。


溢れて。



気づけば、見開いて、彼を捉えた目の中に。




───キラキラ、星が散っていた。




いや、本当は星なんか散ってないけど。

だって、どう表したらいいんだろう。




───どうやったって彼が、キラキラ輝いて見える。