【短】30秒後、星散るセカイ




無意識に期待して、無意識に彼を探してしまう。



別に意味なんかなくて、ただなんとなく、なのか。



それとも私が彼を────。




…なんて。




どっちにしても。

胸に広がる、モヤモヤとハッキリしない、淡く曖昧な気持ちは、無意識に私に彼を探させる。



そして、不思議なくらい。


彼がいれば、どうしてもどうやったって、私は彼をすぐに見つけられてしまう。




それは彼が私を見つめてるからなのか。



私が彼を────。



そこまで考えて、目当ての自動販売機の前で足を止めた。



手に握った2枚の百円玉を穴に入れる。





───彼と目が合うだけで、無意識に揺れる心の中も。




チャリン。




───彼が私を見つめる理由も。




チャリン。




───ハッキリさせたいけれど。





話しかける勇気なんて、てんで出ない。



ただ彼と目があった入学式のあの日から、どちらともなく目線を合わせてそらすだけ。




───…彼が私の事を好きなんじゃないか、なんて自意識過剰に考えるだけ。




彼の顔を無意識に頭に浮かべながら、光った自動販売機のボタンに目線を滑らせた。