そして、ポツリ。 「違ったかぁ」 苦笑いと一緒に独り言を溢した。 だって、無意識に期待した。 話したことすら、ないけれど。 お昼休みのこの時間。 自動販売機にいく時に通るこの通路の、右側。 新入生のクラスが並ぶその場所で、いつも友達と話しながら廊下にいて。 …て、あ、今日はいなかったけど。 ────いつも目が合う彼かな、と。 私を見つめる、彼かな、と。 無意識に期待していたのだけれど、違った。