部活終わり、練習着のまま校舎裏のベンチに座る。
横峰さんの責めるような眼差しと、悲しげな男の人の顔が忘れられない。
結局男の人は、横峰さんの言葉に「そっか」と言って、肩を落として帰ってしまった。
2人の間に、何があったかなんて知らない。
知らないけど、もやもやする。
強い口調で男の人を追い返した横峰さんの頬を伝った涙の意味は、いったい何だったんだろう?
思わず重い息を吐きだした時、
「どうしたの?溜息なんてついて」
偶然、菅君が通りかかった。
「いつも笑顔の真下さんが、珍しいね」
「笑顔って。私にだって、悩みくらいあるんですよ!」
隣に座った菅君に、体ごと振り返る。
すると菅君は、
「悩んでいても、真下さんはいつも溜息を飲み込んで、無理して笑ってるから」
目を細めて、じっと私を見つめた。


