饒舌な私とは反対に、黙り込む七倉さん。
寝てるとこ起こしておいて、世界一幸せだなんていきなり言われたら、呆れちゃうよね。
急に不安が押し寄せたとき、七倉さんが「ふっ」て笑う息遣いが聞こえた。
「俺も昨夜。っていうか今朝?早朝まで、懐かしい人と会ってたんだけど。ちょっと引っかかることがあってね。けど雛子ちゃんの言葉で元気になった。電話をくれて、ありがとう」
たった今、幸せって思ったのに、さっきまでの自分より、今の私の方がもっと幸せ。
いつも七倉さんは、私にたくさんの幸せを注いでくれる。
「七倉さんを好きでよかった」
私の言葉に、七倉さんが嬉しそうにクスクス笑う。
「俺を好きになってくれて、ありがとう」
耳をくすぐる、幸せな言葉たち。
「好きだよ、雛子ちゃん」
綺麗な声で紡がれる言葉に、胸がどきどきして全身が熱くなる。
七倉さんの愛が、いつも私を強くする。
「私も。七倉さんが大好きです」
他の人がどう言ったって、私は違う。
どっちか一つなんて選ばない。
恋もテニスも大切だから。


