「今も好きなの?」
そう聞くと、横峰さんの瞳が揺れる。
それでも真っすぐに私の目を見る横峰さん。
「彼への気持ちなんて関係ない。テニスに恋は不要。そう思ったから別れた。それだけよ」
横峰さんの瞳が潤んでる。そう思うのは、私の気のせい?
瞳の奥でくすぶっているのは、恋の炎?
哀しみと怒りが入り混じったような横峰さんの瞳に、動けなくなる。
今度こそ横峰さんは、立ち尽くす私の横を通り過ぎた。
横峰さんと、恋とテニス。
その間には何かあるのかもしれない。
けれど、それは私みたいに何も知らない人間が、興味本位で聞いていい話じゃない。
頭では分かってる。
それでももやもやするんだ。
テニスに恋は不要。
恋をしていなくてもテニスはできる。
けど私にとって、七倉さんを好きって想いは、何よりも力になっているから。
横峰さんの言葉は、まるで私の恋を全否定されたみたいで胸が痛かった。


