「小春、帰るよ」 放課後、貴音がバックを持って私の元へ走ってきた。 「貴音、ごめんね。今日ちょっと用事があって……先に帰っててくれない?」 「あー、わかった。じゃあね」 貴音はそう言って手を振り帰っていった。 嘘をついた。 用事なんて、嘘じゃないといえば嘘じゃないんだけど……。 用事というか…… 「橘さん、こっち来て」 呼び出されたっていうか。