失恋、


今から三ヶ月前、それは始まった。


「松美さん、ごめん、教科書見せてもらっていい?」

佐々木が手をあわせて頼み込んできた。

「ああ…どうぞ」

「ごめん!」

離れていた机を、佐々木涼太が近づける。

確かに、胸の高鳴りはあった。
いろいろな感情が混ざっていた。

「あ、次のペー…ジ…」

めくろうとして私が手を出すと、
その手を佐々木は握った。

強張った顔で佐々木を見ると、
空のような透き通る瞳に吸い込まれるように

佐々木とキスをした。

本当になんの前触れもなく。

どんな思いでしたのかと
聞く勇気となく、
聞く必要もないだろうと、言い聞かせた。