実家に戻って来てよかったと思った。

「このまま、帰ってきてもいいのよ!」


お袋は、最初会った俺のあわれな姿が、目から離れないようで。

無理してんじゃないか?

そう考えていたみたいだ。


親孝行って何だろう・・・。

でも、戻らなきゃ!

置いてきた気持ちに整理付けるって。

決めたんだ。


「悪い。もう少しだから・・・。」


そう、言って。

鞄に荷物を入れながら、お袋の背中を見た。


『俺を産んでくれた人。』


いつから?

お袋の腕から、離れていったんだろう・・・?

そして。

母親の姿が、原田さんと重なった。