「そう思ってたのは私だけかもしれない……」
「……何かあったの?」
「由佳ちゃんは海翔のことどう思う?」
「え? 桜にべったりな草食系?」
「でも優しくていい人だよね」と続けた由佳ちゃんに私は曖昧に頷く。
私もおとなしめで優しい人だと思ってた。
だけど昨日の海翔は別人で思い出すだけで泣きそうになる。
メールを送ってすぐに電源を切ったスマホをコートのポケットから出して机の上に置く。
偶然海翔と色違いの機種で分かった時は嬉しかったのに今はそれも少し悲しい。
思わずスマホをじっと見ていたら頭をなでられる感じがして、顔を動かすと由佳ちゃんが笑ってた。
「桜が言いたくないなら無理に聞かないけど、もし話したくなったらいつでも言ってよね!」
「ありがとう由佳ちゃん」
由佳ちゃんとは高二になった今年に出会って仲良くなったけど、大好きで大事な友達で。
今すぐには言えそうにないけど落ち着いて話せたらいいなと思った。