――そっくりさんでありますように……!
そう願いながらスマホを耳にあてて呼び出し音を聞く。
少しの間呼び出し音が続くとそれが消えて優しそうな海翔の声が聞こえた。
『もしもし桜? 今日は買い物に行くって言ってたけど何かあったの?』
いつも通りの海翔だ。
だけど今までの海翔じゃない。
だって電話に出て話しているのが近くにいるそっくりさんだったから。
「海翔はずっと私を騙してたの?」
『桜? どうしたの?』
「……嘘つき」
私の名前を呼ぶ優しい声に泣きそうで声が震える。
小学校に入る前から一緒にいるのに、私は本当の海翔を知らなかった。
そのことが悲しくて外なのに泣きそうになる。
「運動はあんまりできないけど、そのかわりに勉強を頑張って海翔に教えようって思ってたのに――っ」
「桜……!?」
歪む視界にスマホを耳にあてている彼が私のほうを見て驚いているように映る。
勉強が苦手なのも運動が苦手なのも、優しいのも全部嘘なの……?
ガラガラと崩れるような感覚に我慢できなくなって、私は海翔に背中を向けて走り出した。

