あと少しでクリスマス。
毎年幼なじみの海翔(かいと)にあげているプレゼントを何にしようか、そう思いながら街に出掛けた私は人ごみの中にいる海翔に声をかけようとした。
――海翔も買い物?――
――何か欲しいものない?――
そう言おうとして動かした唇を私は声を出さずに閉じる。
見た目は海翔。
だけど人と話している様子はまるで別人。
……双子とか?
――ううん。海翔は一人っ子のはず。
私との距離はそう遠くなくて話し声が聞こえてくる。
「もう少しで冬休みだなー。初詣一緒に行かね?」
「は? 俺パス。他のヤツ誘えよ」
ツンとした感じの話し方に相手の男子が「相変わらずだな」って残念そうに言う。
海翔は自分のこと俺なんて言わないし、もっと優しそうに話すし。
それに初詣に一緒に行くって言ってたし……。
だけどあまりにも海翔にそっくりで気になった私はコートのポケットからスマホを取り出して海翔に電話をかけた。