俺に溺れとけよ

優雅に泳ぐ熱帯魚を見て呟いた私の言葉に、蒼井くんがからかってきた。





「ち、違うよ!見た目が綺麗だからっ」

「わかってるわかってる」

「もぉー」


付き合ってから本当に意地悪!

でもちょっと嬉しいけど…







「そろそろ昼だな。何か食べようか」

「あ、私お弁当作ってきたの!」

「え?」


持っている大きめのサブバッグをかざすと、蒼井くんは驚いていた。私達は飲食が出来るスペースに移動する。






「混んでるなぁ…テーブル席とベンチもいっぱいだ」

「レジャーシート持ってきたからあそこ行こうよ!」


日陰でレジャーシートを広げて昼食を取っている人達を見つけ指をさすと、蒼井くんはキョトンとして私を見つめた。




「…どうしたの?」

「水野ってしっかりしてんのかドジなのかわかんないよな」

「なっ…ひどい!」


怒る私を見てケラケラ笑う蒼井くん。私は更に怒った。






「弁当作って来てくれたりレジャーシート持ってきたりしてくれるのに、プールに落っこちたりするしさ」

「う…」


言い返せない。蒼井くんの言っていることは全て事実なので…

場所を確保するとレジャーシートを広げ腰を下ろした後、私は作って来たお弁当を出した。





「夏場だから迷ったんだけど…でも保冷剤たくさん入れてきたから大丈夫!」

「重かったろそれ…言ってくれれば持ったのに」

「平気平気」


時々意地悪だけど…やっぱり蒼井くんて優しいなぁ…







「…うま」