俺に溺れとけよ

「泳げないのに何でプールに来るの?」

「水は好きなの。昔からプールとか海とか…水に触れてると落ち着くっていうか」


カナヅチなのに不思議だよね。夏になると無性に海に行きたくなるし…





「俺と一緒だな」


ぼそっと言うと蒼井くんはまたキャップをかぶってゴーグルを付け、スタート台からいつものように構える。




「あ、そうだ…」

「え?」

「まだ名前聞いてなかった」


構えて集中している様子の蒼井くんが私に話しかけて来た。私はやや緊張しながら答える。





「水野美海…」

「…俺は蒼井紡」



バッシャーーンッッッ