「何か飲み物買ってくる。何がいい?」

「じゃあ…いちごミルク。あ、今お金渡すっ」

「いいよ、おごる。いつも飯分けてもらってるんだからこれくらいさせて」


優しく笑ってプールから出ていく健くんに、私は「ありがとう」と言った。


またプールに目を向けると段々と水かさが増して来ている。学校のプールを見ると夏を感じてワクワクしてくるな…






タン…タン……


すると後ろから足音が聞こえ、振り返ると凪が戻って来た。




「おかえり~今健くんがね…」

「健まで私から奪う気?」

「え…」


凪は怒っているのか急に声を荒らげて言った。私は驚いて言葉を詰まらせる。





「最近健とも仲いいよね…私は紡にフラれて幼馴染みまで美海に取られるの?」

「ち、違う…凪…」


そうじゃない。

健くんは凪のこと…





「違…違うの………ごめん、美海…こんな事言いたいんじゃないの…」


突然ボロボロと涙を流す凪に、私は近づいて顔を覗き込む。




「どうしたの…?」


凪はしくしく泣きながらやっと声を出して言った…





「私…最低なことした…」

「最低?」

「…美海に嘘ついてたの」



嘘…?














「紡の好きな人は…美海なんだよ」