でも私からは聞かないでいた。凪から話してくれるまでそっとしておきたいし…





「紡…最近様子変だな」


すると、隣で休憩している健くんが飲み物を飲みながらボソッと言う。




「変て…?」

「わかんないけど…何か悩んでるのかも。あいつ悩み事があるといつもタイム落ちるから」

「そうなの?」


そういえば…最近蒼井くんの泳ぎ方が変わってきたなと思ってた。

前は優雅で楽しそうだったけど、今は力強くて激しい感じ…大会とかもあるからだと勝手に思い込んでたけど。





「俺の勘違いだといいけどな…」


私は健くんとしばらく蒼井くんの泳ぐ姿を見ていた。








「そろそろ帰ろうか」

「そうだね」


夜の7時を過ぎた頃、帰ろうとすると蒼井くんはまだプールの中にいて私は声をかけた。





「帰らないの?」

「…悪い。もう少し泳いでから帰るから…先に帰っていいよ。気をつけろよ」

「…うん」


蒼井くんが居残りするなんて珍しいな…




「俺もそうしようかな」


健くんがキャップをかぶると私の方を見て一瞬微笑む。

私は健くんにぺこっと頭を下げ、凪達と先に帰った。







翌日



「ふあー…」


いつもよりも30分早く出て家を出ると、眠い目をこすりながら学校へ向かう。今日は委員会の仕事がある為、いつもよりも早く学校へ登校しなけらばならなかった。





「よ…」

「健くん!おはよ」


学校が近づくとちょうど健くんと会い、自然の流れで並びながらそのまま歩いて学校に向かう。




「早いね。もしかして健くんも環境委員?」

「そ」

「そうなんだ。あ、そういえば…昨日あれからどうだった?蒼井くん何か言ってた?」

「うーん特に。男だし、あんまり誰かに悩み相談とかしないタイプだからな」

「そっかぁ…」


そうだよね…男の子ってそういうの言わない人が多いもんね。