考えるだけでワクワクしてにやけそうになる。ホワイトデーってこんなに嬉しいんだね。




「本当は部活の時にあげようと思ったんだけど…みんなの前で渡すの照れくさくてさ。何か気合い入れてるみたいで嫌だし」

「…」


蒼井くんの表情からして嘘でも演技しているようにも見えない。

こんな人が恋愛なんて面倒くさいなんて…本当に思ってるのかな。





「どうもありがとう!すっごく嬉しい」


どうであれ今は素直に嬉しい気持ちを伝えた…

蒼井くんをここで疑ったって仕方ないし、それにホワイトデーくれたのは事実なんだから素直に喜んでいたい。


すると蒼井くんは笑いそのまま私の方に手を伸ばして来た。ドキッとして固まっていると…





「…虫付いてる」

「ぎゃー!」

「嘘嘘。ホコリ」


中庭に蒼井くんの笑い声が響き渡る。

ホワイトデーありがとう蒼井くん…









「ではまた明日」

「さようなら」


帰りのHRが終わり、私は自分の席でカバンをに荷物を詰めていた。




「蒼井くんからホワイトデーもらった?」

「もらったもらった!やっぱり優しいからちゃんとくれるタイプだと思ってたよ~」


蒼井くんにバレンタインを渡したらしきクラスの女子達の会話が聞こえて来て、私は手を動かしながら耳を傾けていた。




「てゆーか何もらったの?」

「キャンディー1個だよ~袋に入ってるやつ一つずつ配ってる感じだった」


その言葉を聞いて私の手が止まる。




「超うれしー食べるのもったいないよ」

「蒼井くんかわいいね」


きゃはははと笑う女子達の声。

私はカバンに入っている蒼井くんからもらったホワイトデーのお返しに目を向けた。


私はキャンディーじゃない。

お返しにもらったのは苺のお菓子の詰め合わせ…



蒼井くんの事が益々わからなくなってきた…

でもどう考えても蒼井くんが好き…だからもう考えるのはよそう。


私はカバンのチャックを閉めて立ち上がると、教室を出て部活に向かった。