「蒼井くんて~バレンタイン20個もらったって噂だよ」

「モテモテだね」


体育の授業のマラソン中。ダラダラと走る中、女子達の会話が聞こえてきて耳を傾ける。


蒼井くんてそんなにチョコもらったのか。やっぱりモテるんだね…




「今日ホワイトデーだよ~もしかしたら蒼井くんからもらえるかも!」

「蒼井くん優しいもんねっ」


女子達の会話を聞きながらただひたすら走った。

今日は3月14日のホワイトデー。バレンタインのお返しをもらえる日だけど…私はそんなに浮かれていなかった。

凪が蒼井くんに告白したって聞いてからなんとなく気分が沈んでいる。蒼井くんの本当の気持ちを聞きたくなかったっていうのが本音で…そこはグレーでいたかったのかな…

だけど蒼井くんが好きなことには変わりないんだから仕方ないんだけどね…





キーンコーン
カーンコーン


体育の授業が終わると昼休み。

教室に戻って来た私はジャージのままカバンを持ち、廊下に出た。


どこでお弁当食べようかな…

凪は昼休みに委員会があるから今日は一緒に食べられないって言ってたし…






「水野」


廊下を歩いていると、後ろから蒼井くんに声をかけられた。



「蒼井くん?」

「1人?」

「う、うん!」


蒼井くんに話しかけられるとやっぱり緊張する。