がやがや


その日の1時間は自習で、うちのクラスは騒がしかった。私は自分の席でスマホをいじりながら暇な時間を過ごしている。




「ねえね、今年のバレンタインどーする?」

「もちろん作るでしょ」


近くの席の女子達の会話が聞こえてきて、私はスマホをいじる手が止まった。




もうすぐバレンタインか…もうそんな時期なのね…

蒼井くんに何あげようかな…


スマホで「バレンタイン」と検索して出てきたレシピや画像をなんとなく眺める。



何作ろうかな。

部活のメンバーにも渡すからそれも考えないと…




ブブ…


スマホ画面に凪からのLINEが映る。




凪{近々バレンタインの材料買いにいかない?(*^^*)


凪のクラスの授業が退屈なのか私にそうLINEしてきた。私はすぐに「いいよ♪」と返事をした。







「これかわいい。あ、こっちもいいな」

「迷っちゃうね~」


その週の休日。私は凪とバレンタインの材料を買いに出掛けた。ラッピングやレシピ本を見たりしてワクワクしてくる。





「今年の14日は日曜だから月曜日に渡そうかな」

「そうだね」


行列になっているレジに並び凪と話す私。





「美海は紡に渡すの…?」


凪の口から蒼井くんの名前が出ると、ピクッと反応してしまう自分がいる。私はできるだけ普通に振る舞いながら笑顔で答えた。




「うん…でも部活のメンバーと一緒のものにするよ」

「そっか」


そう言って私に背を向けた凪。どんな表情をしているのかわからなかったけれど、しばらくして振り返るといつもの凪がそこにいた。