俺に溺れとけよ

「蒼井(あおい)くーん!ゴミ袋ちょうだーい!!」


プール男子を遠くから呼ぶ声がして、彼は立ち上がるとゴミ袋を持って私から離れて行く。



アオイくんていうんだ…苗字か名前かどっちだろう…





「紡(つむぐ)~こっちも頼むよ」


違う生徒にも呼ばれているプール男子を見て、私はすぐに彼の名前を知ることが出来た。




蒼井…紡……

かっこいい名前…



顔と名前がこんなにも一致する人っているだろうか…ますます蒼井くんが気になる。

それから30分間。蒼井くんをチラチラ気にしつつも草むしりは終わり、居残りさせられた生徒達は下校になった。

あれから一度も蒼井くんと話すことはなかったが、家に帰ってからも胸はまだドキドキしている状態を保っている…


そして散々迷った挙句、私はいつものようにあのスポーツクラブに行くことにした。おじいちゃんの手前という事もあったけど蒼井くんに会いたいと思ったから…






「あ…」


スポーツクラブに着き更衣室で水着に着替え室内プールに行くと、先に蒼井くんが来ていてスタート台に乗りストレッチしていた。

今日も膝下までのかっこいい水着を来ていて、背中の筋肉と割れた腹筋に思わず目がいってしまう。