そしてピストル音が鳴ると選手達が一斉にプールに飛び込んだ。



「紡ーーーー!がんばれーーー!!!!」


隣で凪が声を張る中、私は胸の中で必死に応援していた。


蒼井くん…頑張れ!




蒼井くんと陸のスピードはほぼ一緒で、事前に打ち合わせして泳ぐスピードを合わせているかのよう。





「蒼井ーーー!」

「紡ーーー!!」


ラストスパート。どちらもスピードが緩むことなく進む…






パンッ

パンパンッッッ



そしてゴール。

キャーとギャラリーが賑わう。


電光掲示板には蒼井くんと陸の同着の表示が…



「同着…」


私はポツリと呟いたあと蒼井くんを見つめると、キャップとゴーグルを外してプールから上がっていた。

結果。優勝したのは他校の三年生の生徒で、蒼井くんと陸は3位だった。






「僕達の季節は終わったね…」


大会を終えて体育館から出てバスを待っていると、川崎くんが肩を落として言った。

今日の大会の結果。うちの学校は敗退して次の大会には繋がらず今年はこれで終了。また来年の挑戦になる。




「練習はまだ続くんだ。また来年頑張ろ」

「そーだね」


健くんが川崎くんの肩を叩き、蒼井くんはさっきからぼんやりとしているような気がするけど気のせいかな?




「美海ー!」


すると体育館から慌ただしく出てきた陸が、私に近寄って来た。





「もう帰んの?」

「うん」

「またLINEするから」

「はいはい」


いつ見ても変わらない陸を見て安心する。彼女の沙由美ちゃんともさっき会って話したけど元気そうだったし。





「あ、バス来た」


ちょうど私達の乗るバスが来て、陸は私に手を振ってまたな!と笑った。




「蒼井」


バスに乗り込もうとする蒼井くんに声をかける陸。




「また来年ここで会おう」


ニッと笑う陸だったが、どこか力強い目つきで挑戦的でもあった。




「ああ。必ず」


蒼井くんはふっと笑うとバスに乗り込み、健くんの隣に座った。陸に見送られながらバスが走り出し、私達は電車に乗り継いで地元へ帰った。



短い夏が終わり…

次は何が始まるんだろう…