「よし!昨日よりタイム抜いた!!あとは本番だけだ!」


ストップウォッチを握りしめる凪は、ジャンプしながら喜んで私の肩を抱いた。

期末テストは無事に終わり夏休みに突入すると、毎日練習に追われていた。県大会を来週に控えた私達は部活動も気が引き締められ、リレーや個人種目も段々と形になってきた。

部員達は気合い十分。後は大会を待つばかりだ。






「今日はサンドイッチにしたよ~デザインもあるからたくさん食べてね」


夏休み期間はお昼を私が持参するのが定着しつつある。

凪は指導係で私体調管理係とでも言った感じだろうか…夏場ということもあるがクーラーボックスなどの大荷物を持って、毎日練習に来ている。





「うまいうまい♪」

「良かった~あ、口についてるよ。はいティッシュ」

「ごめーん」


川崎くんが卵サンドをむしゃむしゃ食べている。同い年なのに弟みたいな存在。


蒼井くんはハムサンドを頬張りながらプールを眺めている。

大口だけど丁寧な食べ方。唇の端についたマヨネーズを指でさっと拭く仕草…全部がかっこ良くて完璧。





「美海!虫!サンドイッチに止まってる!!」

「へ?…ギャーーーー!!!」


ぼけっと蒼井くんに目を奪われていたら、私の持っていたサンドイッチに虫が止まっていて私は思わず叫んだ。

蒼井くんや他の男子達はケラケラ笑った。どうも好きな人の前で私は完璧になれない。










蒼井くん{これからプール行かない?


夕方。部活が終わり解散になった後、家に帰りシャワーを浴びて夕食を食べてすぐに蒼井くんからLINEが来た。

私はすぐに「行く(≧∇≦)!!」と返事をして、また着替えて支度をして外に飛び出すと蒼井くんが家の前で待っていた。






「待った?」

「今来たとこ。ごめん急に」

「ううん」


むしろ誘ってくれてありがとうございます。私は鍵目的だとわかってますけど、それだけで本当に嬉しいです。

私達は涼しい風に吹かれながら、他愛のない話をしてプールに向かった。






「あれ?健くんはまだ来てないね」


いつも先に来ているはずの健くんが、今日は珍しく来てない。




「今日健は来ないよ。お母さんが誕生日だから家族でこれから出かけるって言ってたし」