誰かを好きだって第三者の前で認めたのは初めてで、どんな顔をしてればいいのか何を言ったらいいのかもわからない…

それに、こんなに恥ずかしいなんて思ってもいなかった…

全く暑くないのに汗が出てきて、プールの水面から見ても顔が真っ赤っかになっているのがわかる。







「やっぱりそうなんだね…なんとなくわかってた」


何度か頷きながら言う相馬さんは、また蒼井くんを見つめしばらく黙り込んでいた。

マネージャー同士で同じ人を好きなんて…こんなのうまく行きっこないよね。やっぱり私は水泳部に入らない方がいいのかな…





「でもね…同じ人を好きだからって水野さんとぎくしゃくしたり気まずくなるのは嫌なの。女子が入部してくれたのは嬉しいから…だから恋愛としてはいいライバルで、友達としては仲良くしたいと思うんだけどどう?」

「相馬さん…」


てっきりこれから意地悪されたり、冷たく接してくるのかと思ったのに…相馬さんの言葉は私の考えていた事とは180度違うものだった。









「うん!私もそうしたい」


室内プールに響く位の音量で言うと、相馬さんはニッと笑って「よろしく!」と言った。

プールの匂いと蒼井くんの泳ぐ水の音、その中で私の日常が変わろうとしている瞬間だった…