俺に溺れとけよ

「なんだよ急に」


驚きながら眉をしかめる紡。

こんな怖い顔初めて見た。





「陸やめて!突然何すんのよっ」

「お前は口出しすんな」


止めに入った私を陸は軽くあしらい、紡を睨みながら喧嘩口調で言う。






「お前今日手抜いただろ?あんなのお前の泳ぎじゃねえ…舐めてんのか!?」

「…そんなんじゃねえよ」

「じゃあ何だあれは!俺に遠慮したとかそんなバカな事言ったらまじでぶん殴るぞ」



パチンっ






すると、横から凪が割り込んで入って来て陸の頬を平手打ちして叩いた。

凪の目にはうっすら涙が滲んでいる。


陸は驚いたように頬を押さえた後凪の方をギロっと睨み、私は凪を止めるように後ろから支える。






「バカ!なんて事してくれてんのよ!あんたは勝ったんだからいーでしょ!!紡は…紡はね……今足にヒビ入ってんの!それでも大会に出てあんたと勝負したんだからもういいでしょっ」


凪の叫ぶような言葉を聞いて陸の顔つきが変わり、バツが悪そうに目をそらす紡の方を真っ直ぐ見つめた。




紡としては陸に言って欲しくなかった事実…


でも私達からすれば、陸には知って欲しかったこと…