俺に溺れとけよ

「そうだね…」


思いもしなかった展開にドキドキしながらも、私は蒼井くんと待合所に入った。中は木の香りに包まれていて、木製で出来た長椅子と自販機があるだけ。

私達は人1人分くらいの間隔を空けて隣同士にベンチに座り、待合所から外の雨を眺めた。




突然蒼井くんと2人きりになっちゃった…

ちょっと緊張するけど何だか心地いいというか…穏やかな時間が流れてる気がするのはなんでだろう…





「今日プールは行かないの?」


しばらくの沈黙を先に破ったのは蒼井くんで、まだ髪が濡れていて少し色っぽい感じがする。




「うん…こんな雨だし今日はいいかな」

「だよな。俺も今日はさすがにいいかも」


体を伸ばす仕草をする蒼井くんは、足を開いて座り直すとまた雨をぼんやりと見ていた。




「蒼井くんはあそこのプールには毎日行ってるの?」

「ああ…ほぼ毎日」

「そうなんだ。泳ぐのすごい上手いよね!どこかのクラブチームとか入ってるの?」


ずっと聞きたかった事を聞いてみることにした私。ちょっと図々しかったかな…





「入ってない。ただ泳ぐのが好きだからプールに通ってるだけだよ」

「へぇ…勿体ない」


あれだけ上手いなら大会とかにもいけそうなのに…素人目で見てもすごいレベルなんだしさ!