俺に溺れとけよ

ゴーグルとキャップを付けてそれぞれがレーンに並び、スタート台に立ち構えると会場はしーんと静まり返った。



この瞬間がいつも緊張する…







パンッッッ



スタートの音と共に選手達は一斉にプールに飛び込んだ。




「紡ー!頑張れーーーー」

「蒼井先輩ーーーー!!!」


部員達は全力で紡を応援する。

私も声が枯れるくらい大声で叫んだ…



会場が歓声で包まれる中、

紡のスピードがどんどん落ちて来る…


それに比べて陸はどんどん距離を伸ばして、2位との差をつけていた。




凪や他の部員は見ていられないのか目をそらしていた。

私は紡から一回も目をそらす事無く、ゴールする最後までしっかりと見届けた。





「わーーーーーっっ!!」


クロールの個人戦に出場した選手達が全員ゴールすると、歓声が飛び交う中私はスタート台に登る紡を見つめていた。



結果は陸が1位。

紡は4位だった…





「紡頑張ったね」

「うん…」


それは私達が一番よくわかってる。

私は彼氏として、人として、同じ部活の部員として彼を心から称えたい。




紡はプールから上がると、私のいる応援席の方を見て笑顔を向け手を振った。

私は手を大きく振り返すと涙がポロっとこぼれた。



泣かないって決めてたのにな…

ごめんね、紡。