俺に溺れとけよ

「ごめん、寝てた?」

「ううん大丈夫。どうかした?」

「ちょっと顔見てから寝たくて」


紡のその言葉を聞いて笑顔になる私。


私も寝る前に紡に会いたいと思っていた…

テレパシーが繋がっているみたいで嬉しくなる。




私達はホテルの廊下のエレベーター横のベンチに腰掛けた。

紡は相変わらず松葉杖をついていて、一週間前から容態は変わらない。


完治するのに三ヶ月かかるから当たり前だけど、早く治って欲しいとどこか願ってしまう自分がいる…






「とうとう明日だな…楽しみ」


嬉しそうに言う紡の顔は、この三年間の数ある大会中で初めて見る笑顔。





「大丈夫…?」

「何が?」


思わず聞いてしまった事に多少後悔したが、やっぱり私としては聞いておきたい事だった。





「明日…無理しないでね」


無理してでも大会に出たい紡の気持ちはわかる…

でも私としては…体のことも考えて欲しい。






「わかってるよ」