いつにも増して紡の口調がより優しい感じがして、

さっきまでの不安な気持ちはもう消え去っていた。






「今日連絡出来なかったからさっき電話しようと思ったんだけど…会いたくなって会いに来た」

「…私も会いたかった」


いつもは恥ずかしくて言えない台詞も、

不安から開放されると自分の素直な気持ちも言えてしまうものだ。


紡はニコッと笑うと私の手を引いて、指を絡ませて握るとまた夜空を見上げた。






「ちょっと散歩しない?…家大丈夫かな?」

「大丈夫大丈夫!お母さんに言ってくるね」

「俺も行くよ」


2人で一度私の家に戻り、お母さん達に断りを入れた後私達は夜の散歩に出掛けた。



珍しく誰ともすれ違う事もなく海辺までやって来た私達。

今日はひと通りが少ない。


虫の声や星空、

月までもが私達しか見ていないみたいだ…



2人で防波堤のコンクリートに座ると、紡が私にぴたりとくっついて座る。