ーーー6月。


プール開きが近づくと、毎年恒例のプール掃除を部員でやり始めた。

今年は新入生のおかげで手がたくさんあり、三年間の中で一番スムーズにプール開きが出来そうだ。


その日の放課後はいつものようにスポーツクラブのプールで部活。

私は飲み物を補充をしながらちらちらと紡の泳ぐ姿を見ていた…



大会が近づいてきたからか紡はより練習に力を入れている。

関係としてはうまくいっているけど、最近は前よりも一緒にいる時間は減りつつあった。

紡のことを応援しているのはもちろんなんだけど、ちょっと寂しい気持ちもある…






「紡…またタイム落ちてるな」

「え?」


横でドリンクを飲む健くんがボソッと言い、私は思わず手を止めてしまう。






「そうなの?」

「うん…凪が言ってた」

「そう…」


何か悩み事があるのかな…

心配になってきたよ…




「健くん何か聞いてないよね?」

「…うん別に」

「そっか…」


紡はあんまり自分のこと話さないしな…

1人で抱え込むタイプなんだろうけど…今は私にも頼って欲しいよ。







その日の帰り道。



「もうすぐプール開きだな?」

「そうだね」


紡と一緒に帰っている途中、私は思い切って紡に切り出してみた。





「ねえ…」

「ん?」


急に立ち止まる私を、振り返って不思議そうに見る紡。

私は紡に駆け寄ってコソコソと聞いた。






「何か悩んでる?」

「あ?」


聞き方を失敗したかとか思いつつも、引っ込みがつないのでやり通すしかない。