俺に溺れとけよ

「うん!」


嬉しくて自然と笑顔になる。蒼井くんも笑ってくれた。





「ごちそうさま。あー食った」

「全部食べたね!やっぱり蒼井くんの食欲すごいよ」

「お前の荷物を軽くする為だよ」


後片付けをしながら2人で笑い、少し休憩してからまた水族館へと戻った。





「ここ広いね」

「まだ半分も見てないもんな」


人混みをかき分けながら水族館を楽しむ。

蒼井くんが手をしっかり握ってくれて、どこか魚に集中出来ない…





「もうすぐ最後だ。その前に飲み物で飲む?」

「うん!」


出入りより少し手前にフードコートがあり、飲み物を買って立ち止まる。





「そっち何味だっけ?」

「マンゴーソーダ!蒼井くんはアイスコーヒーだよね」

「うん、一口ちょうだい」

「ぁ…」


プラスチックの容器を持つ私の手の上を握り自分の方に寄せると、蒼井くんはストローに口をつけてマンゴーソーダを飲んだ。

思わず手が震えてしまうと、蒼井くんと目がバチッと合う。





「…甘」


ストローから口を離す蒼井くんは、そう言って自分のアイスコーヒーを飲む。


こんな事くらいでドキドキしてるのは私だけだよね…

ずっと色恋事に縁のなかった私にとっては完全にフリだよ…





「そういえば…ずっと渡そうと思ってたんだけど…」

「え?」


蒼井くんがポケットからリボンのかかった小さい箱を出して、私にそっと差し出した。





「誕生日おめでとう」