目の前にいる蓮は、見た目も心もきっと大人だ。


ナンパ男とこんなに長くいるのは初めてで、自分が一番驚いている。

ちゃっかりコーヒー奢ってもらっちゃってるし…。


こういうところに大人の財力を感じる。
友達同士でも奢るといることはあんまりしない。割り勘がほとんどだ。

「コーヒー代返すね」

「は?高校生のお前に金返されるとか俺の立場考えろよ」

「…」

「お金はいらないよ。柚希ちゃんも暇なんだろうけど、俺のほうがかなり暇だったの。だからコーヒーは暇つぶしに話し相手してくれたお礼ね」


だから気にすんなよ。と言って私の頭に手を伸ばす。髪の毛をクシャッとするとまた蓮は笑った。

「柚希ちゃんの髪の色、ダークブラウン?綺麗だね」


まさに、このコーヒーみたいに苦い色。違う色に染め直したくてたまらなかったんだ。

「この髪色ほんときれー。好き」

何度も何度も私の髪の毛に指を絡ませる蓮はきっと、女を落とすのが得意だろう。