「じゃあ、また明日な」


カフェを出て、映画を観て、夕ご飯を食べて。

駅の改札の前で向かい合う。



「あ、そう言えばこれ…」


いつ渡すか考えていた手作りのお守り。


「今日、記念日だし何かあげたいな、って思って。

でも何もいいプレゼント思い浮かばなくてさ。


こんなのでよかったら…」


裁縫は不得意ではなかった。

だから見た目はそんなに悪くないはず。


でも高校生にもなって、しかも部活じゃなく彼氏に手作りのお守りって…

そうは思ったけれど、最悪受け取ってもらえなくたっていい。

そんな投げやりな気持ちも半分ありつつ、先輩に差し出す。


「これ、中…なんか入ってる?」

受け取った先輩は触った感触で分かったのか中を覗こうとする。


「あ、いや…それは家で…!」

わたしはそれを阻止しようと頑張る。


でもわたしよりも15センチ以上背の高い先輩に敵うはずもなく、

お守りの中から1枚の紙が取り出されてしまう。



「見てもいい?」

首を振ったところで、もう遅い。

この状況で素直にしまってくれる人のほうが少ないだろう。


ほんとはわたしのいないところで見てほしかったんだけどな…