季節は流れ、
風が吹けば少し寒さを感じるようになっていた。
わたしと先輩の関係は特に変わっていない。
でも、最近は
手を繋ぐことにも
”ナオくん”と呼ぶことにも
…キスをすることにも
すっかり慣れて、自分で自分の成長を感じている。
トシは相変わらず、先輩との話には相槌を打つだけで興味は一切なし。
でも美帆の話になると前のめりになる。
わたしの知らないところで、トシと美帆は何かあったんだろうか。
トシにも美帆にもさりげなく聞いてみたけど、
2人は何もない、と言う。
そのくせお互いにお互いを応援してるんだ、
とか余計訳分かんないことを言ってくる。
これ以上聞いても教えてくれないだろうと察したわたしは詮索することをやめた。
そしてその美帆は圭祐くんといい感じみたい。
前よりも頻繁に連絡取ってるみたいだし、
近々何か起こりそう
と、わたしは勝手に予想している。
「おはよ、ユウ」
ぼーっとしながら歩いていると肩を叩かれる。
「おはよー!美帆!
いよいよだねー!」
「うん、いよいよ、だね」
何か決心したかのような顔をする美帆。
あれ、近々何か起こりそう、の近々はもしかして今日…?
いつもは味気ない正門。
だけど今日はカラフルに装飾されている。
そう、今日は高校生になって初めての学祭!!