「大丈夫だから、目を開けてろ!」
力強く空に響く声。
え、今の……まさか、悠?
顔を覆おうとしていた手が止まる。
その瞬間、敵の一人が悠に殴りかかった。
ビュンと突き出された拳を、悠は交差させた手首の間で受ける。
その手首をくるりと回し、右手で相手の腕を、左手で首を持った。
「う、そ……っ」
悠はなんと、敵の体を左手一本で持ち上げてしまった。
首を絞められた敵はたちまち泡を吹く。すると悠は手を離し、敵をその場に沈没させた。
「な……っ」
一瞬の出来事に、残りの敵も驚いてる。
「俺のこと、弱そうだと思ってただろ」
悠の声が、一層低くなる。
「本当は、戦うの好きなんだ。大勢の敵を見ると、嬉しくてゾクゾクする」
そう言う悠の顔を見て、背中を冷たいものが駆け抜ける。
敵に囲まれているはずの悠は、うっすらと笑っていた。
それはいつもの温かい笑顔とは、全く別のモノ。
眼光は鋭く光り、口の端はそこはかとない邪悪さを漂わせていた。



