篤志さんを説得して、教員を続けさせてもらうつもりでいたのに……現実は、甘くなかった。
「しょうがないよね。議員と結婚してくれって言われて、正直……一瞬だけど、『これで私は母のようにならなくて済む。子供にみじめな思いをさせなくて済む』って思っちゃったの。お金に目がくらんだ罰が当たったんだよ」
保育園の時代からすでに、女子にはカーストというものが存在した。
持ち物や着ている服、それに送り迎えする親の見た目で、子供たちの間にもなんとなくランキングができていく。
母は綺麗な人だったけど、着ているものはいつも同じで、古臭いデザインだった。
自分も量販店で一番安い服や持ち物しか持たせてもらえず、当然、カーストでは底辺に位置していた。
それは中学を卒業するまで容赦なく続いた。
特にひどいいじめを受けるということはなかったけど、カーストの上の方の女子から、バカにされたり、見下されたりといった視線を感じることは日常茶飯事だった。



