「あの人たちが言っていた通り。私は父の愛人の子なの」
別にそんなの、恥ずべきことではないと思っている。
私は私だし、母だって、人の道を踏み外したかもしれないけど、悪い人じゃなかった。
「実のお母さんは、今どうしているの」
「とっくに亡くなってる。高校二年のとき。乳癌だった」
さすがの悠も言葉を失う。
「母は水商売をしていたの。二十七で私を身ごもって、父には認知だけしてもらって、別に暮らしていた」
母は水商売を辞め、おばあちゃんのいる田舎に引越し、昼の仕事をしていた。
おばあちゃんと母のパート代が主な財源だった我が家は、食べていくのがやっとという状態だった。
「やっと年金をもらえるくらいの歳になったおばあちゃんが、先に亡くなって、がっくりきたのかな。お母さん、急に体調を崩すようになって」
どうにも良くならないからと、検査を受けてみたら、病気が発覚した。
それから一年、亡くなるまでは長いようであっという間だった。



