柔和な顔の印象から、体もなんとなく華奢に見えていたけど、裸のそれは、そんなイメージとかけ離れていた。
引き締まっているお腹は六つに割れているし、胸板も意外に厚い。
腕にはくっきりと筋肉の形を示す線が浮かび上がっている。
「えっと、シャツはどこだ?」
背中を向けられ、その背筋にもびっくりする。
なにこれ。美術室の石膏像でしか見たことのない筋肉の線がいっぱい……。
いつの間にか、目が離せなくなっていた。
じっと見ていた私に気づき、悠が笑う。
「何見てんの、えっち」
「だって……」
目が離せなくなったのは、意外に男らしい体のせいだけじゃない。
ゆっくりと傍に寄ると、その肉体に刻まれた傷の数々が、はっきりと見えた。
そっと腕の傷に指先で触れる。
古いもの、新しいもの、深くて長いもの、薄くて短いもの。
体中にあるたくさんの傷を見ていたら、涙が溢れそうになった。



