「家に待っている人でもいるの?」
隣に座っている悠の顔を見ずに、尋ねてみた。
「……なんで?」
なんでって……どうしてそんなことを聞くのかという意味?
「俺のこと、知りたい?」
不意に低くなった声にどきりとする。
金縛りにあったように、横が向けなくなった。
隣にいる悠が、急に知らない男になった気がした。
「別に……ただ、聞いてみただけ。特別な意味はないから!」
いたたまれなくなって、ベッドから抜け出す。
そうよ。悠に彼女がいたって、私には関係ないんだから。
「ふーん、そっか」
いつもの明るい声のトーンに戻った悠もベッドから立ち上がり、うーんと伸びをした。
ふとそちらを見ると……。
「ちょ、なにいきなり脱いでんのよ!」
「は?」
悠は、パジャマの胸のボタンをいくつか開けていた。
「だって、もうすでに警護始まってるし。一応スーツじゃないと」
そう言い、悠は平気な顔で上半身裸になった。
思わず凝視してしまったその体に、どきりとする。



