「あっははは、そんなに青くならなくてもいいのに」
「え……」
「あのねえ、さっきの新城さんいたじゃない。あの人が見張ってるのに、やらしーことできるわけないよね?」
はっ……そういえば。
「ヤケ酒して、一人でシャワー浴びて、そのまま寝ちゃったんだよ。着替えも歯磨きもフラフラしてたけど、ちゃんと自分でしてたよ」
そっか……。ちょっと安心するけど、疑問が残る。
「でも、どうして一緒に寝てたの?」
部屋はシングルで、ベッドは一つしかない。
けれど、寝たければ私をソファに追いやるか、悠がソファに寝るかすればいいのに。
どうして二人ともベッドなのか。
「だって、霧子が『一緒に寝てくれなきゃ嫌だ』って言ったんじゃない」
え……。
またお得意の冗談かと思って見返す。
「ウソでしょ」
「ウソじゃない。泣いてすがりつかれたから、帰れなかったんだ。そうじゃなければ、一度家に戻ってたよ」
泣いてすがりついた?それこそウソでしょ。母親に置いていかれそうになった子供じゃないんだから。
信じられない気持ちと、鈍い胸の痛みが渦巻く。



