タイミングって、なんの?
振り返ると、背中をつついた悠は誰にもわからないようにそっとウィンクする。
あっ、そうか。
私は思わず立ち上がる。
「あ、あのっ」
「ん? どうした?」
父が私を見上げる。
「メールの件ですけど……これって、私と篤志さんの婚約を良く思っていない人がいるっていうことですよね。送信した人が、もし今回の犯人だとしたら……」
篤志さんの方を見ないようにしながら、私は話し続ける。
「私と篤志さんの婚約を白紙に戻せば、すべてが丸く収まるんじゃないでしょうか?」
……しばし沈黙。
その場にいる誰も、私がこんなことを言いだすとは思わなかったらしい。
初めにその沈黙を破ったのは、父だった。
「いやいや……ちょっと待ってくれ」
まだ話そうとする父を遮り、義母が乗り出す。
「そんなこと、できるわけないでしょう。いったい何を言いだすのよ。あなたみたいな人をもらってくれるのは、八乙女さんしかいないのよ」



