思わず顔を上げる。
しっかりとメイクされた母の顔は、同年代に比べれば綺麗なんだろうけど、にじみ出る雰囲気が醜悪で、“魔女その二”って感じにしか見えない。
あれに似てる。童話の眠り姫で、誕生日会に呼ばれなくて逆恨みする魔女。
性格が悪いから呼んでもらえなかったんだっつうの。
「私にはそういう趣味はありません。私の命を狙う人がいるのだとすれば」
怒りに任せ、母と兄をにらみつける。
「お父さんの遺産相続人を一人でも減らしたいという人たちじゃありませんか?」
「なっ……」
「お前っ、俺とお母さまを疑っているのか? 妾の子の分際で!」
母と兄は顔を真っ赤にし、怒りで肩を震わせる。
妾の子って。あんたは何時代の人よ。“愛人の子”で良くない?
そう、私はこの場にいる母とは血が繋がっていない。兄とは半分だけ。
この魔女は父の本妻であり、私の実の母は、父の愛人だった。



