ぼそぼそとムダ話をしながら、警備員に案内された二階の大広間のドアを開けた。
中には大きな円卓があり、それを囲むように総理大臣である父、その右横に母と兄、そして篤志さんが座っている。
左横には、知らない男の人がいた。
黒くて短い髪で、狐のようなつり目をしている。
「おお、無事だったか。さあ、座りなさい」
そう声をかけてくれたのは父で、母は黙っていて、こちらと目を合わせようともしない。
お父さん、また少し髪が薄くなったみたい。目の下に深いクマがあって、大きな鼻とほうれい線と合わせて、童話に出てくる魔女みたいな顔になってる。
「公安の篠田さんだ」
父に紹介された、左横に座っていた知らない人は、立ち上がって会釈した。
「警察庁公安課の篠田です。はあ……またお前たちか」
「げっ、またキャリアと一緒なのか」
ため息をついた篠田さんの視線の先には私ではなく、悠と高浜さんがいた。
「どうかしましたか?」
「いえ、お嬢さんについているSPたちとブッキングすることが、最近多くて」



