篤志さんから連絡があったのは、その日の夜だった。
どうやら父親が、タイミングよく……良いのか悪いのかわからないけど、とにかく仕事の都合がついたらしい。
「一度話し合いをするから、八時に公邸に来いだって」
そう伝えると、悠はうなずき、手早くスーツに着替えた。
その間にどう連絡をしていたのか、高浜さんが部屋にやってきて、二人に警護されながら、車に乗り込む。
「話し合いとは、どういう話し合いなんでしょうね」
ハンドルを握っている高浜さんが言う。
「婚約者さんが、男のSPが霧子の部屋にいるのが気にいらないんじゃないんですか」
悠が冗談っぽく言うけど、私は笑う余裕がなかった。
父は忙しい人だけど、きっと私のことを心配してくれているだろう。
ひとまずは今住んでいる部屋で警護することを了承したけれど、やっぱり公邸に帰ってきてほしいのかもしれない。
まだ結婚する前だし、篤志さんの家に行けということにはならないと思うけど……。



