「まさかお前、ここで寝泊まりする気じゃあるまいな」
「そのつもりですけど」
「はあ!?」
「だって、彼女が寝ている間に襲撃されたら大変じゃないですか」
事実を言っているだけなのに、篤志さんはとても納得いかないという表情。
「霧子、うちにこい。民間SPを何人だって雇ってやる。すべて女性で、周囲を固めてやる」
「えっ……」
女性SPについてもらえるのは嬉しいけど、篤志さんの家なんて行きたくない。
まだ数回しか会っていない義理の両親や兄弟がいて気を遣うだろうし、またムリヤリ迫られたりしたら……それこそ、見張られていて逃げられなさそう。
「それは、お義母さんたちにもご迷惑だし」
「ならば、公邸に帰ろう。あそこなら、SPたちだっておかしなことはできない」
それはますます嫌……。
必死で説得してくる篤志さんから目をそらし、うつむいてしまう。
「あのね、たとえ二人きりだっておかしなことはしませんよ。俺だって公務員ですし、任務でここにいるわけですから」
悠が援護してくれる。
そうよ。彼は、任務でここにいるだけ。それだけなんだから……。



