「やだー、変な想像しないでよ」
悠はにやにやと笑い、赤くなっているのであろう私の頬をつつく。
「し、してないもん! そっちだって、変なことしないでよっ」
「俺、米食べただけだもん」
「男が『もん』とか言わないでっ」
恥ずかしすぎる。しかも、動揺してるの私だけだし。
ぷるぷるしていると、突然インターホンが鳴った。
温かい空気が一変し、張りつめたものに変わる。
「大丈夫。普通にして」
表情からにやにやした笑顔を消した悠が言う。
私はおそるおそる、モニターのボタンを押した。そこに写ったのは、意外な人物だった。
「篤志さん……どうしたんですか」
連絡もせず、いきなり訪ねてくるなんて。
『霧子、無事か。開けてくれないか』
「え、あ……」
うちのマンションは、まず住人がモニターのボタンを押し、自動ドアのロックを解かなければ、中に入れないようになっている。
ちらと横を見れば、私服のイケメンがいた。
どうしよう……このまま通して、大丈夫かな。
「いいよ、通して」
私の考えを見抜くように、悠が小さな声で言った。



