「よく短時間でこんなに完璧に用意ができたよね」
自分で呟きながら、ふと頭にある考えがひらめく。
もしかして、彼女がいる? いや、お嫁さんとか……。
それならば納得がいく。
悠が寝ている間に、誰かが代わりに準備をしてくれたのかも。
だってもう二十七歳だし、公務員だし、性格も悪いわけじゃないし。彼女やお嫁さんがいたって、全然不自然じゃない。
その考えは、なぜか私の心を暗くさせた。
「うちにあるハーブも持ってきたんだ。体が温まるやつ」
「自宅で育ててるの?」
「うん。植物好きだから、ベランダが植物園みたいになってる」
悠はリュックの中から、ハーブとは別の、ビニール袋に包まれた小さな鉢植えを取りだした。
「この部屋、潤いなさすぎだからこれあげるね」
そう言って袋から出てきたのは、手のひらサイズのサボテン。
頭の上に、赤いぼんぼりみたいな花がついている。
可愛いけど……どうやって入れてきたら無事にここまでたどり着けるの。
いやそれより、潤いなさすぎって! 失礼な! 確かにないけど。



