そして、何時間か経った頃。
「ただいま!」
まるで自分の家に帰ってきたように、悠はそう言って部屋に入ってきた。
両手には、重そうなビニール袋が二つ。
中からはネギとか大根とか、生鮮食品が透けて見えた。
そして、昨日までのスーツを脱ぎ、パーカーにコットンパンツ、背中にリュックというカジュアルスタイルになった彼は、まるで大学生のようにも見えた。
髭は綺麗に剃られていて、ツルツルの肌が白く輝く。
「じゃあ、俺は行きますね。大西、テレビを見ていないで警護に集中しろよ」
よく言っておくと言ったくせに、高浜さんはさらっと注意しただけで、交代して帰っていってしまった。
「お昼食べた?」
パーカーの袖をまくりながら、悠は言う。
時計を見ると、ちょうど十二時。暇な時間に授業用の教材を考えていたりして、少しお腹が空いた。
「まだ」
「じゃあ、チャーハンでも作ろうか」
「えっ、作ってくれるの?」
「うん。まあ、普通に市販の『チャーハンの素』を使うんだけどね」
彼はそう言って、リュックから冷凍されていたのであろう、タッパーに入ったご飯を取りだす。



